日本アスレティックトレーニング学会
代表理事 越田 専太郎
私たちは今、変化が非常に早く、不確実で、複雑で、曖昧な時代に生きています。新たな感染症の脅威、気象災害の激甚化、権威主義の台頭といった不穏な情勢に加え、産業構造や就労環境の変化、そして少子高齢化の影響により、日本の社会環境は予測困難な変動に直面しています。このような社会変化に伴い、私たちアスレティックトレーナーの役割も変化し、多様化が進むことは間違いありません。
変化の激しい現代社会において、アスレティックトレーニングの発展には、これまでに培われた価値観と経験を基盤としつつ、新たな技術革新や多様化するニーズに柔軟に対応することが求められます。ただし、ここでも我々は、科学的根拠に基づいた実践を常に心がけ、効果的で安全な方法を採用する必要があります。また同時に、現場では全てを即座に科学的に検証することは困難です。そのような状況において、経験豊富な実践者が長年培ってきた暗黙知を活用し、しなやかに対応する術を身に着けておくことも大切です。
アスレティックトレーニングの挑戦は、この科学的根拠と現場の暗黙知を適切に組み合わせ、変化する社会やスポーツをするすべての人のニーズに柔軟に対応しながら、いかに最適な解決策を見出すか、ということにあります。本学会は、この挑戦をサポートするため、スポーツ医・科学に関する幅広い研究者と実践者が有機的に連携するための場を提供し、学際的な研究成果と実践から得られる経験知の融合によるアスレティックトレーニング学の進化・深化に向けて最大限の努力をしていく所存です。
また、本学会は、アスレティックトレーニングの発展と普及を通じて社会の変動に対して柔軟性に富んだ安全かつ安心なスポーツ環境の実現し、さらにスポーツをする人すべてのスポーツパフォーマンスや、スポーツ活動によるライフパフォーマンスの向上に向けて積極的に貢献してまいります。
皆様のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。